さわのめぐみさん インタビュー「すべてのものに、物語はある。」

こんにちは。chisaの牧内です。

東京はすっかり冷えこみましたが、chisaの庭にはまだ紅く染まったモミジがパラパラと少し残っています。
そういえば、 昨年の東京の秋はとても暖かかったので、きっと紅葉がいつもよりのんびりと訪れたからですね。

今日は、お食事会イベント「chisa×ものがたり食堂」 や、展覧会レセプションパーティーのケータリングでいつも助けていただいているフードディレクター さわのめぐみさんにインタビューをさせていただきました。
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chisa×ものがたり食堂『シンデレラ』より「秘密の花園」。
王子様とシンデレラが出逢い舞踏会で踊ったあと、王子様お気に入りのお庭で会話をするシーンから着想を得た一品。
一見サラダですが、なかにはローストポークが。

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―――さわのさんの手がけるお仕事の中でも特に人気の高い「ものがたり食堂」(さまざまな物語や映画の世界観をさわのさんの感性を通して表現されたフルコースとして味わうことができるイベント)ですが、最初の「ものがたり食堂」のお話しを聞かせてください。はじめられたきっかけは何かあったのでしょうか?

さわの:イベントのご依頼がきっかけですね。ある場所を使わせていただける事になって、なにかそこでやらねばならず、遂に私もこういうことをやらねばならない時が来たと・・・

―――というと?

さわの:それまでは、前に出るとか、自分から企画するとかっていうことが苦手で、したことがなかったんです。けど、遂にその時が来たかと思って・・・。

―――なるほど(笑)

さわの:一番最初は、「幸せのレシピ」という映画から、一品だけ作ろうと思って始めたんです。でも、考えているうちにどんどん作りたいものが増えていってしまって。

―――素晴らしいですね。

さわの:でもそれ、800円のイベントだったんですよ。

―――あら・・・!?

さわの:なにも知らなくて、何も分かってなくて800円ではじめちゃって・・・でもしぼりにしぼって3品にしました。

―――それでもやっぱり?

さわの:はい。赤字でしたね(笑)でもとても良い反響があって、次いつやるの?という声もたくさんいただき、今につながっているという感じです。
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chisa×ものがたり食堂『シンデレラ』より「ビビディバビディブー」。
南瓜のスープです。chisaのムラーノガラスの器に美しいお料理がそえられて更に美しく、お客さまだけでなく、スタッフ一同、感激しっぱなしでした。

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――― chisaはまもなく「リーン・ヴォートラン展」というジュエリーの展覧会がはじまります。“物語性のあるジュエリー”を制作することで有名な彼女の展覧会の開催が、さわのさんにお話を伺いたいと思ったきっかけでもあるですが、さわのさんご自身はわりと個性的なジュエリーがお好きとお見受けしますが?

さわの:好きですね!そんなにたくさん持っていないですけど、動物が好きなので動物モチーフの物とか、まさにリーン・ヴォートランさんの物語性のあるジュエリーというのはすごく気になります。良く見ると発見があるものとか、自分で「もしかしてこれってこういう意味があるのかな?」とか、思いを馳せられるようなアイテムはジュエリーに関わらず好きです。
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「リーン・ヴォ―トラン展」より。白雪姫のブローチや、メリーゴーランドのイヤリングなど独自の物語性のあるジュエリーを数多く展示しました。

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―――ストーリー、物語は小さい頃からお好きでしたか?

さわの:ファンタジーが好きでした。空想に浸るのが大好きで、小さい頃はその中で生きるのが楽しかった(笑)私の性質なんですけど、すごく考えこみやすいんですよ。ネガティブなことも。でもそれがポジティブに働くとアイデアが浮かんだり良い方に転がるので、小さい頃の空想する癖は、今の仕事に生かせているのかなって思っています。

―――どんなことを空想していたんですか?

さわの:空想上の動物と遊ぶ、みたいな(笑)小さい頃は動物とはおしゃべりできると信じ込んでいました(笑)物語も、書いてはいなかったけど・・・いや・・・書いていたようなもんなのかな、空想の中で。魔法が使えるんじゃないか?とか(笑)

―――あれ?ご兄弟はいらっしゃらないのでしたっけ?

さわの:兄が一人。でも10歳離れているので、お父さんが二人いるような。ほぼ一人っ子ですね。出身は横浜なんですけど、周り近所にあまり小さい子がいるようなおうちが少なくて、遊び相手はほとんどおばあちゃん。リカちゃん人形のようなお人形遊びもひとりではあまりしなかった気がしますね。でもごっこ遊びとかはすごく憧れました。だけどシャイだったので、たまに同じくらいの年齢の子と出会っても、なかなか自分から「仲間にいれて」と言えなかったんです。だからひとりで空想の世界で遊んでいました。(笑)
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chisa×ものがたり食堂『ヴェニスの商人』より、「ユダヤ人との約束」。
最盛期だった大航海時代のヴェネチアはスパイスのルートを独占していたそう。そんなヴェネチアの豊かさと、主人公アントーニオとユダヤ人シャイロックとの約束を、スパイシーなサラダで表現してくださいました。

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―――どうして人は「物語」に、そして「ものがたり食堂」に惹かれるのでしょうか?

さわの:うーん。なんでですかねぇ・・・?うーん。なんでだろう・・・?でも、すべての物にストーリー、物語があると思うんです。このペンひとつとっても、一本できるまでに色んな人が色んなことを考えてきたと思うし、きっとたくさんの物語がある。今ここは、リーン・ヴォートランさんの展覧会が行われようという会場ですけど、リーン・ヴォートランさんの生きてきた人生がこうやって、すごく時間が立った後に誰かの手によって、紹介されている、彼女にしてみたら「知らない人が私の展覧会をやっている!」みたいな(笑)そういう、ひとつひとつの事柄にストーリーがあるということが、とてもおもしろいなとは思っています。童話や小説とかだけじゃなくって、いろんなことに物語がある。

―――はい。本当にそうですね。

さわの:そこに「食(しょく)」で寄り添っていけたらなって・・・なんで食だったのかな?でも、私は「食」でしか表現できないから・・・絵とか書けたらまた違うんでしょけど。でも、物語は絵になったり、映画になることは良くあるから・・・私がやっていることが珍しいかは分からないけど「食べるストーリー」「食べるアート」みたいに、「食」を通してひとつひとつの物語に寄り添ってやっていけたらいいなと思っています。

―――ありがとうございます。これからのご活躍も、とても楽しみにしています。

さわの:ありがとうございます。がんばります!

ものがたり食堂×chisa『ヴェニスの商人』より「指輪」。
ご参加くださったみなさまに、おみやげとして作ってくださった琥珀糖の指輪。
ヴェニスの商人の物語でも指輪は大事なアイテムですね。

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決して自分を表現することは得意じゃない。でも、ひとつひとつ、ひとりひとりの物語に寄り添って、自分ができる方法で真摯に表現を重ねていく。

そのひたむきさと、無限に広がる想像力に、あらためて心打たれたインタビューでした。無理なく自然に、自分のできるやり方で素材や人に寄り添って表現をしていく。モノづくりだけではなく、暮らし方や生き方も含め、それが自分らしい、オリジナリティを見つける第一歩ではないかと。

さわのめぐみさんとchisa代表小瀧千佐子。

・さわのめぐみさん 公式ウェブサイト

さわのめぐみさんとchisaのコラボ企画
・chisa×ものがたり食堂『シンデレラ』
・chisa×ものがたり食堂『ヴェニスの商人』