Christian Dior

クリスチャン・ディオール

 

(1905-1957)

フランス

 

 

第二次大戦に続く時代は、長くつらい過去から「生きる喜び」を再び見つける必要があった。そこで新しい時代の象徴とされたのが1947年、クリスチャン・ディオールによって発表された「ニュールック」と題したフェミニンなスタイルだった。戦時中のユニフォームのような洋服への不満からこのファッションは18世紀の回顧的スタイルとなり、ウェストをしばってペチコートで張りをもたせたスカートなどあくまでも女性らしい装いが受け入れられる。彼はイヴニングドレスを復活させ、ジュエリーを昼用と夜会服用に区別した。こうした観点からディオールは華やかなイヴニングドレス用にダイヤの輝きに似たラインストーンを好んで用いた。 

 

1952年、アメリカのジュエリーデザイナーであるミッシェル・メイヤーはディオールの季節ごとのコレクションのためにジュエリーを制作した。それらはラインストーンと真珠、彩色ガラスを複雑に組み合わせたノスタルジックな愛らしいもので、彼の職人としての技術には目を見張るものがある。

1955年にはドイツのヘンケル・グロスと協力し、コスチューム・ジュエリーの量産を始める。全てのジュエリーは手作業で作られ、1958年以降「Christian Dior」のロゴが付けられるようになった。

クリスチャン・ディオールは1905年フランスに生まれ、パリにサロンを開いてから10年後の1957年にわずか52歳で亡くなった。彼の死後、当時若手デザイナーであったイヴ・サンローランがジュエリーを作り続け、今日もなお、他の多くのデザ
イナーの手によってディオールのコスチューム・ジュエリーは生き続けているのである。