Elsa Schiaparelli

エルザ・スキャパレッリ

 

(1890-1973)

イタリア

 

 

オートクチュール界の大御所シャネルにとって永遠のライバルは、イタリア人デザイナーのエルザ・スキャパレッリであった。

エルザは1890年、ローマで上流階級の娘として生まれる。親の決めた結婚から逃れるためロンドンに渡り、そこでポーランドの亡命者と結婚するが長続きせず、自分の手で娘を育てねばならなかった。野心家だった彼女は自らデザインしたコスチューム・ジュエリーに合わせて洋服のデザインも手がけ、1931年にはパリのヴァンドームにサロンを開く。やがれエルザは上流階級のマダムや映画、舞台女優たちの間で大人気となってゆくのである。

 

彼女のコスチューム・ジュエリーは第二次大戦を挟んで特徴を異にする。戦前の作品はダダイズム、シュールレアリズムの影響を受け、ダリ、コクトー、ジャコメッティ、マンレイ、ベラールなどアーティストのデザインによるジュエリーを発表した。それらはユーモラスで楽しく、また意表をついたもので希少価値の高いものとなった。

1937〜1939年にはジャン・シュルンベルジェールと「サーカスシリーズ」など素朴でユニークな作品を次々と制作した。大戦中にエルザはアメリカへ移り、1949年にはニューヨークに支店をオープンする。彼女は新しいジュエリーのコレクションをライセンス製造し、アメリカで販路を拡大する。それらは鮮明な色使いが重要視され、さまざまな表情のガラスが大量に使用された。透明ガラス、ガラス、虹彩ガラス、煙熱ガラス、酸化ガラス、発光ガラスなどがあらゆる形(カボション、梨形、三角形、マーキーズカットなど)に磨かれて、シックにまた大胆に組み合わされ、これらの作品はその非凡な才能を感じさせるのに充分である。