【高台付きグラヴィールゴブレット】のご紹介



高台付きグラヴィールゴブレット
大¥148,500
小¥137,500

サリール工房のグラスをご紹介いたします。

世界から惜しまれつつ閉鎖してしまったサリール工房は、昨年末北参道チサでもご紹介させていただきましたが、ムラーノ島では珍しくエナメル彩とグラヴィール技法を得意とする工房です。

なぜ珍しいかというと、ムラーノ島の職人はなんといっても「ホットワーク」、つまり、ガラスを型に入れたりせず、熱くドロドロと溶けている間に吹いたり伸ばしたりねじったりして形成することに誇りを持っています。

かわって、切子やバカラなど、型に入れ、冷え固まってから美しいカット技法などを施すことを「コールドワーク」といいます。

切子やバカラなどのクリスタルガラスは透明度を出すために鉛を多く加えることで知られています。「ガラスの透明度を増すためには鉛を入れると良い」というのはヴェネチアの職人さんが発見したのですが、しかし鉛を入れれば当然ガラスの比重は重くなり、吹き棒の先に巻き取って吹いたり伸ばしたりすることは出来なくなります。つまり、型に入れるしかなくなるのです。

そこでムラーノの職人さんは、自分たちの類まれなホットワークの技術が生かせないと、「コールドワーク」を捨てます。
自分たちのホットワークの技術をさらに発展させる道を選択したのです。
ですから、ムラーノガラスにおいてコールドワークは、しばらくの間ムラーノ島で発展することはありませんでした。

しかし、ムラーノ島に起こった新芸術運動のさなか、その価値観を一新したのがこのサリール工房です。

伝統的な吹きガラスの美しさはしっかり保ちつつ、新しい世界観のフォルム、そしてコールドワークであるグラヴィール技法、エナメル彩を取り入れ、新しいムラーノガラスを世界に発信しました。

新芸術運動のさなか、最高のホットワーク技術により形成された吹きガラスに、当時もっともモダンなデザイン模様、そしてそれを的確に掘るグラヴィール師、その三者がそろって奇跡のように実現したこちらのグラス、特別な一杯のために、いかがでしょうか?