「目撃者」
かたつむりも
バラの花も
ツバメも
そっと見つめていた。
その視線を躱(か)わすことは できない。
木越 あい
今回の催事では、小瀧千佐子活動40周年を記念して、小瀧が信頼を寄せる日本人ガラス作家の皆さまにも出展をお願いいたしました。
ご参加いただく1人目は、木越あいさん。
ガラスの器や板に、絵を彫っておはなしを描くことをコンセプトにされており、ストーリー性のある図柄や、被せガラスの美しさが魅力的な作品を制作されています。
今回ご出展くださったこちらのうつわ、ハッとするような朱よりの赤色に、ツバメ、バラ、金魚、蝸牛や蝶など様々な彫り装飾が施されています。
緻密な絵柄ながら、うつわとしてもきちんとデザインされていて、暮らしに取り入れても使い勝手は抜群。そして、「ガラスでないとできない表現」を常に見つめて作品づくりされていることも感じられます。
木越あい 茶器「空」シリーズ
茶碗は白色、ピンク色、ミント色のガラスを竿につけ、クリアを巻いて、内被せで吹いていき、 高台に当たる部分はクリアのみを伸ばして成形しています。 仕上げは、茶器とともにサンドブラストして磨き、ぼんやり霞がかかったような仕上げにしています。
chisaでも茶器はイタリアの職人さんとコラボレーションしてこれまでも幾度となく制作していますが、やはりイタリアにお抹茶をいただく文化はありません。木越あいさんの茶碗を手にすると、あぁ、お茶を知っている方が作ったのだなと感じます。サンドブラストで磨いていますから、お抹茶を立てる時も滑りすぎずに良いかもしれません。
すりすり、なでなでと、つい手の中で愛でたくなるような作品群を、是非お手に取ってご覧いただきたく存じます。
今回の催事ではどれも限定1点ずつのご紹介となります。お問い合わせは、以下お問い合わせフォームか、LINEにてお願いいたします。
Message
愛おしいきもち
美術大学3年生になって、やっと念願の熔けたガラスを触り出した頃、夏の間、千佐子さんの最初のお店でアルバイトをさせてもらうことになりました。
確かな技術と繊細で愛らしい意匠に魅了され、そして圧倒されました。ここを目指すことは、私には到底不可能だと思ったものです。
私は私なりのガラスとの向き合い方を創らなければ、と考えさせられたのを覚えています。
そんなムラーノガラスに対する千佐子さんの想いは、いつも好き!愛おしい!で溢れています。私はあれから、ガラス独特の色や影を意識した私のやり方でかたちにしようとしています。千佐子さんのガラスへの情熱はいつも猛烈に熱く、そのお話は私につくる勇気を与えてくれます。
40周年、おめでとうございます。これからも益々、極上の愛おしいものたちを紹介してください。
木越あい