お世話になっております。
チサスタッフの小瀧万梨子です。
何をかくそう
いまわたくしは、
chisaのウェブページを
ブラッシュアップしようとしています。
つきましては、
なかなか着手できなかった「コラム」というメニュー、
こちらを有効活用するべく、
駄文をしたためることといたしました。
chisaと、
chisaが扱うムラーノガラス、
そしてコスチュームジュエリーの発展を祈る私が、
日々、
〈これは興味深い〉と感じ、
もしかしたら
皆さまもご興味を持ってくださるかもしれない事柄を
徒然に、
書き連ねさせていただきます。
きょうは、
『色の言語化について』。
イタリアには、
日本ではあまり馴染みのない
色の表現がたくさんあります。
特に私が好きな色は、砂色。
そして、煙色です。
ちなみに砂色は、イタリア語でサッビア(Sabbia)、
煙色は、フーモ(Fumo)といいます。
色も好きだけど、
砂、と、煙、という、
色表現が、なんか好きです。
イタリアの色を勉強していて
非常にユニークだなと思ったのが、
「お砂糖を包む紙の色 ( carta da zucchero)」
という名前の色があるんですね。
何色だと思われますか?
水色の一種、なんです。
かつて白いお砂糖をより真っ白に見せるために、
水色の紙に包んでいたんだとか。
確かに水色は黄色と反対色。
目の錯覚で黄色っぽさが見えにくくなります。
少し黄ばんだお砂糖も
青みのある紙で包めば
真っ白に見えるわけです。
まだまだお砂糖が貴重だったころ、
ヴェニスの商人たちが
このcarta da zucchero色の紙に包んだ
真っ白なお砂糖を手に
生き生きと商売していたのが目に浮かびます。
でもヴェネチアだけじゃなくて
京都の老舗和菓子店「末富」さん。
その美しい水色の包装紙は
戦後日本画家の池田遥邨氏がデザインしたものですが、
「砂糖の白」を最も美しく引き立てる色として、
代々受け継がれているんだそうです。
(末富さんはchisaの近くだと、新宿高島屋さんに入ってます)
フランスの色表現も実に、、、
実に興味深い。
現代でも良く登場するのは
ベール・カナル(Vert canard)。
これは直訳すると「鴨の緑」。
確かに鴨の緑色の羽は非常につややかで
美しい独特な緑色ですよね。
そしてやはりわたしが出会って最も
うっとりしたフランスの色表現は
「妖精の太もも」
薄桃色です。
この「妖精」というのが、
余計な官能さがなくて実によい。
かといって、
「赤ちゃんのほっぺ」みたいな幼稚さもない。
「妖精の、太もも」
お見事(拍手)。
はたまた、非常にユニークな表現もあって、
「王子様のうんち」Caca Dauphin(カカ・ドファン)なる黄色。
ファッションリーダー、マリー・アントワネットが
生まれて間もない王太子様のオムツを見て
『まぁ、キレイな色!』
と、ふざけて流行らせたとか・・・いないとか・・・
ご覧になったことがない方もおられましょうが
確かにお乳を飲んでいる赤ちゃんのソレは
大人のソレとはまったく違う配色であり
母性本能をくすぐらなくもない、のですが、、、
うんちの色の深堀は避けましょう。
実際カカ・ドファンという表現は、
貴族の間でその当時流行したユーモアで、
現在ではそんなに使われてはいない表現だそうです。
現代だと
Caca d'oie(カカ・ドワ): ガチョウのうんち色(黄緑色)
のほうが一般的だとのこと。
ガチョウの、うんち、、、、
日本人の私たちではなかなか、
思いつかない表現ですよね。
でもこれはイギリスでも「Goose-turd green」
つまり、
「ガチョウのフン緑」という色で使われているそうです。
イギリスはというと他には
Dragon's Blood(ドラゴンズ・ブラッド):竜の血(鮮やかな赤)や、
Mummy Brown(マミー・ブラウン):ミイラの茶色。
そして産業革命を想起せざるを得ない
London smoke(ロンドン・スモーク):濃い灰色
など、
どこか
「うわー、イギリスらしい!」
と感じられる色がたくさん。
びっくりエピソードとして、
イギリスでは16世紀から20世紀初頭にかけて、
なんと本物のエジプトのミイラを粉末にして
絵具の顔料として使っていたこともあるそう。
知らずに使っていたラファエル前派の画家、
エドワード・バーン=ジョーンズは、
自分の使っていた絵の具の原料がミイラであることを知ってショックを受け、
庭に絵の具を埋めて供養したという逸話も出てきました。
うーん、
大英博物館でミイラを
見た記憶が蘇ります。。。
そして日本の色を調べていてびっくりしたのは、
「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」。
江戸中期、
贅沢禁止令みたいな物(奢侈禁止令)が出たさい、
派手な色を身につけることも禁じられてしまった江戸の庶民たち。
そんな彼らが
「てやんでぃ!
派手な色がダメってぇならオメェ、
許されてる『茶色』や『鼠色』で
思いっきりオシャレにしてやろうじゃねぇか!
(こんちくしょう!)」
という、いわば、
ヤケクソユーモアオシャレから生まれた
地味な茶色と鼠色だけで数百もの色を作ってまとめた
カラーパレット的なもの。
それが、「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」。
江戸の皆さんの
ヤケクソオシャレパワー、
恐るべし。
そして誇らしい。
「あっ!なんでぇアイツ!
昨日は昆布茶(こんぶちゃ)色を着てると思ったら
今日は枇杷茶(びわちゃ)じゃねぇか、
粋だねぇ!(こんちくしょう!)」
話を現代に戻しましょう。
私が日本の色の中で特に好きなのは鶯色、
イタリアの色で特に好きなのが砂色、ということで、
「砂とウグイス」
というコラムシリーズを
なんとなく書き始めてみようかなって思っています。
長々と駄文にお付き合いいただき恐縮でした。
砂とウグイス、第一回として
chisaと関係の深い国々の色の言語化、
色表現についてでした。
今日はこの辺で。
皆様に素敵なことがたくさん起きますように。
チサスタッフ 小瀧万梨子
