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花器「典美な」のご紹介

花器「典美な」のご紹介

*写真:花器「典美な」¥1,100,000 (税込)* 現在ではアメリカ、日本など、様々な国のガラス作家の方々によって表現されている「レースガラス」技法ですが、かつてはムラーノガラスの門外不出の秘宝とされてきました。様々な色の物がありますが、基本的には透明なガラス(クリスタッロ)と不透明な白色のガラス(ラッティモ)によって作られます。この白色のガラスは、貿易の中継地点であったヴェネチアに海を越えてやってきた陶器や白磁を見たヴェネチア人がたいそう感動し、なんとかこれをガラスで作れないか・・・と研究され生み出された色。この不透明なミルク色のガラスが出来たからこそ、レースガラスが生まれたのです。こちらの花器は、今は亡き偉大なマエストロ=アドレアーノ・ダラ・ヴァレンティナ制作。レースガラスは制作する作家さんによってかなり個性が出て、ヴァレンティナ氏のレースは比較的ダイナミックな印象の物が多いのですが、こちらはレース・・・を越えて、もはやガーゼのような細かさ!一本一本のレース棒が太いことも大変珍しいです。漆黒の台座と、丸々としたフォルムも大変魅力的です。

「葉桜」シリーズのご紹介

「葉桜」シリーズのご紹介

*「葉桜」左:一輪挿しあるいは徳利¥44,000 右:高台付き一輪挿し¥46,200* こちらのchisaオリジナルの「葉桜」シリーズを制作してくださっているのは、世界中のアーティストが自身の作品を形にして欲しいと集まってくるアンフォラ工房。マエストロのアンドレア・ジリオ氏は、chisa代表 小瀧千佐子に、現在ムラーノ島で最も優れたマエストロと言っても過言ではないと言わしめる実力者です。小瀧は数十年前、マエストロ=アンドレア・ジリオ日本初の個展を北鎌倉の円覚寺にて開催したこともあります。普段は大きなアートピースを制作しているマエストロに、こんな小ぶりな一輪挿しや徳利をオーダー出来るのは、小瀧とマエストロの長年に渡って培った関係性の賜物ですね。その関係性こそ、chisaの何よりの財産です。ヴェネチア伝統の松かさ模様「バロトン」文の入ったボディは細かな高低差から陰影が生まれ、ガラスの色をより楽しむことが出来るのです。美しい色合いと、完璧なフォルムは、さりげないけれど小さな芸術品と言えるでしょう。

【小瀧千佐子デザイン ムラーノガラスの抹茶椀】のご紹介

【小瀧千佐子デザイン ムラーノガラスの抹茶椀】のご紹介

小瀧千佐子デザイン、ジュリアーノ・バラリン氏制作のムラーノガラスの抹茶椀をご紹介します。美しい茶入れと香炉台は、木地師であり漆芸家である村瀬治兵衛氏デザイン制作の作品。日本とイタリアの工芸が見事に融合し、ハッとするほど美しい風景が広がります。抹茶椀の深い青色は、実はラメがかったようにキラキラと不思議に光ります。金色、ルビー色、トパーズ色、どんな色でも発色してしまうムラーノガラスの職人さんは時として錬金術師に例えられます。茶碗のふちが優しく波打っているのは、ガラスの膨張率の影響でしょう。透明なガラスと青いガラスの膨張率の違いで、自然とこのように波打っているのです。ムラーノガラスの職人さんは、本当にガラスに優しく、どこか「好きにしていいよ」と語りかけながら作っていらっしゃるように感じる時があります。デザインの通りに無理矢理に形を変えるのではなく、ガラスという素材に寄り添いながら、エスコートするように形を成形してゆきます。だから熱を得てゆらゆら、とろとろと動く柔らかなガラスの風合いがそのまま作品に表れるのです。それはどこか、鉛を入れ、型に入れるクリスタルガラスの技法を捨て、吹きガラス技法に専念した彼らの誇りでもあるように感じます。こちらのお茶碗は、そんなムラーノガラスの何よりの魅力を堪能できる作品と言えるでしょう。

ヴィンテージ宝水「苺木と鳥」のご紹介

ヴィンテージ宝水「苺木と鳥」のご紹介

*ヴィンテージ宝水「苺木と鳥」¥528,000* サリール工房のエナメル彩 宝水「苺木と鳥」をご紹介いたします。ムラーノガラスらしい深い赤色に、所狭しと描かれたエナメルが大変華やかな宝水。 たくさんの実と花を付けた苺の木をバックに、クリっとしたお目めが可愛い鳥さんが大変印象的です。 どこか優しくかわいらしい絵付けとは裏腹に、吹きガラスの技術ははまさに匠の技。とても薄造りで軽く、ムラーノガラスがかつてヨーロッパ貴族に愛されたことも納得の、高貴で贅沢な使い心地でしょう。

ナポレオネ・マルティヌーツィ デザイン「しまうま」のご紹介

ナポレオネ・マルティヌーツィ デザイン「しまうま」のご紹介

*デザイン:ナポレオネ・マルティヌーツィ制作:ピノ・シニョレット「しまうま」¥1,320,000(税込) * ヴェネチア出身のアーティスト、ナポレオネ・マルティヌーツィデザインのアートピース「しまうま」をご紹介いたします。ナポレオネ・マルティヌーツィ(1892-1977)は、日本でも知られるムラーノガラスブランド「ヴェニーニ」のデザイナーであり、クリエイティブ・ディレクターを長年つとめました。既存のムラーノガラス、ヴェネチアンガラスらしさをあえて封印し、まったく新しい作品を数多く発表した彼のデザインは、従来の軽やかなムラーノガラスとは異なり、量感があって、多くの要素をそぎ落としたモダンなフォルムです。後期の作品は、ガラスの透明度さえ封じ、気泡を無数にいれることによってガラスを濁らせたり(プーレゴーゾ技法)、このしまうまのように不透明なガラスを使った斬新な作品を数多く発表しました。そして、こういったシンプルなフォルムの作品こそ、形成するマエストロの腕が良くなければ、非常に陳腐なものになってしまうでしょう。制作したのは巨匠 ピノ・シニョレット(1944-2017)。ムラーノ島では誰もが認める名マエストロであり、日本では1986年、チサ代表小瀧千佐子が日本初のムラーノガラス専門店「サンマルコ」にて個展を開催し初めて紹介されました。非常に濃くはっきりとした白色に、黒いガラスで巧妙に描かれた縞模様は、その上から薄く全体にかけられた24金箔のおかげかコントラストが柔らかくなり、縞模様はどこかチョコレートブラウン色に見えます。グッと凛々しく顎をひき、天に向かってくるりと伸びた尻尾にもご注目ください。威風堂々とした風格がありながらどこか可愛らしく、ほほえましく感じます。

【高台付きグラヴィールゴブレット】のご紹介

【高台付きグラヴィールゴブレット】のご紹介

*高台付きグラヴィールゴブレット大¥148,500小¥137,500* サリール工房のグラスをご紹介いたします。世界から惜しまれつつ閉鎖してしまったサリール工房は、昨年末北参道チサでもご紹介させていただきましたが、ムラーノ島では珍しくエナメル彩とグラヴィール技法を得意とする工房です。なぜ珍しいかというと、ムラーノ島の職人はなんといっても「ホットワーク」、つまり、ガラスを型に入れたりせず、熱くドロドロと溶けている間に吹いたり伸ばしたりねじったりして形成することに誇りを持っています。かわって、切子やバカラなど、型に入れ、冷え固まってから美しいカット技法などを施すことを「コールドワーク」といいます。切子やバカラなどのクリスタルガラスは透明度を出すために鉛を多く加えることで知られています。「ガラスの透明度を増すためには鉛を入れると良い」というのはヴェネチアの職人さんが発見したのですが、しかし鉛を入れれば当然ガラスの比重は重くなり、吹き棒の先に巻き取って吹いたり伸ばしたりすることは出来なくなります。つまり、型に入れるしかなくなるのです。そこでムラーノの職人さんは、自分たちの類まれなホットワークの技術が生かせないと、「コールドワーク」を捨てます。自分たちのホットワークの技術をさらに発展させる道を選択したのです。ですから、ムラーノガラスにおいてコールドワークは、しばらくの間ムラーノ島で発展することはありませんでした。しかし、ムラーノ島に起こった新芸術運動のさなか、その価値観を一新したのがこのサリール工房です。伝統的な吹きガラスの美しさはしっかり保ちつつ、新しい世界観のフォルム、そしてコールドワークであるグラヴィール技法、エナメル彩を取り入れ、新しいムラーノガラスを世界に発信しました。新芸術運動のさなか、最高のホットワーク技術により形成された吹きガラスに、当時もっともモダンなデザイン模様、そしてそれを的確に掘るグラヴィール師、その三者がそろって奇跡のように実現したこちらのグラス、特別な一杯のために、いかがでしょうか?

【⁡アルキメデス・セグーゾ ⁡ヴィンテージ蓋物】のご紹介

【⁡アルキメデス・セグーゾ ⁡ヴィンテージ蓋物】のご紹介

*⁡⁡⁡⁡⁡⁡⁡アルキメデス・セグーゾ⁡ヴィンテージ蓋物 ¥572,000⁡⁡⁡⁡*⁡ ヴィンテージの美しい蓋物をご紹介します。⁡ ⁡⁡⁡吹きガラスで蓋物を作るのはとても難しい。そんな常識を忘れさせてしまうような完璧な作りです。⁡⁡⁡⁡クリアガラスにアクアブルーという配色は、ムラーノガラスにとって特別です。⁡⁡⁡⁡「ガラスは透明なもの」と、当然のように思われている方も多いかと思いますが、ガラスを無色透明にすることに成功したのはヴェネチアの職人です。⁡⁡⁡  それまで銀食器などでワインを楽しんでいたヨーロッパの王侯貴族たちは、⁡ ⁡⁡⁡「ワインの色が透けて見えるぞ🍷✨!」と大変感動し、こぞってムラーノガラスのワイングラスを求めたのです。⁡⁡⁡クリアガラスにアクアブルーをほどこす。それは、そんな貴族たちをさらに喜ばせるための憎い演出【透明であることを際立たせるため】のものなのです。

さよなら、サリール ― イタリアデザインの革命を支えた、小さなガラス工房 小瀧千佐子 ごあいさつ

さよなら、サリール ― イタリアデザインの革命を支えた、小さなガラス工房 小瀧千佐子 ごあいさつ

  1923年創業のS.A.L.I.R.工房は、グラヴィール、サンドプラスト、エナメル彩、エナメル金彩技法に特化したイタリア、ムラーノ島の工房です。 ムラーノガラスは、溶けたガラス種を窯から巻き取り、熱いうちに息を吹き込み成型する、いわゆるホットワーク技法の技術を世界に誇ります。しかしサリールは、北欧から〈グラヴィール技法〉を取り入れ、冷えて固まったガラス器の表面に彫刻を施す、いわゆるコールドワーク製法を極めた、ムラーノ島において唯一無二の工房といえるでしょう。 当時ヨーロッバを中心として起こったアールヌーボー・デコといった新芸術運動の波が、北イタリアの小さなムラーノ島にも及び、いくつかの工房が呼応し参画。時代の波を感じ取った先進的な工房である彼らは、先祖代々続く伝統的な、貴族趣味で装飾過多のガラスデザインを捨て、主任デザイナーとして異分野からアーティストを招聘し斬新な作品を次々と発表したのです。 1930年から70年にかけて起こったそのムーブメントは、閉鎖的であったムラーノ島にて開花し、しかしわずか40年で幻のように消え去った≪ムラーノの芸術運動≫でした。あらゆる要素を、ある意味そぎ落とした革新的な作品たちは、デザイナーと、その要求に応える技術を持ったムラーノのガラスマエストロたちとの見事なコラボレーションで誕生した20世紀の遺産とも言える芸術作品群です。 S.A.L.I.R.工房は、この運動において重要な役割を果たしています。 1927年にグイド・バルサモ・ステラがデザイナーとして参画するや、アールデコ様式のモダンで斬新なタッチでジャズ、スポーツなどをテーマにした作品を発表。それらはムラーノの一流マエストロが成形した、厚さわずか1~2ミリあるかないかの薄いガラス表面にグラヴィール彫刻され、眺めているとジャズの音楽が聞こえてくるような・・・スキーヤーが粉雪を蹴って滑走しているような・・・情景が見えてくるような名品です。1930年にはヴェネチア ピエンナーレに出展し、センセーションを巻き起こしました。 一方、画家であるヴィットリオ・ゼッキンは、サリール工房において、同じく吹きガラスによって薄く形成されたガラス表面に〈エナメル彩色〉で斬新なデザインの模様を施しました。エットレ・ソットサス、ピエロ・フォルナゼッティ、リカルド・リカタなど、錚々たるアーティストが参画し、ガラスの表面に、そして鏡に、自由自在にそれぞれの表現をぶつけたのです。 これまでに類を見ないそれらの作品は、最も優雅で、モダンで、洗練された作品として、ムラーノガラス史に輝かしいページを残しました。 これらの作品はもっともっと世間に高く評価されるべき、芸術作品といえましょう。   今回は当時の作品も出展し、その高い芸術性を知っていただくと共に、生活の中で使っていただける花入れ、グラス、器、そして鏡などもご紹介いたします。 およそ100年前にムラーノ島で花開き、島が活気に満ちた時代、そしてもう二度と訪れないかもしれない瞬間に思いをはせ、その時代に誕生した斬新なデザイン様式に触れていただけましたら幸いです。   小瀧千佐子   ≫ 展覧会概要はこちら