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ポール・ポワレ『深海』修復記録 vol.1 マスク【形状・構造・状態について】

形状について

額から口の上にかけて顔の上半分を覆い、2つのスナップボタンを用い頭の後ろで止める仕様。 目の位置にスリットが入り、耳の位置に小さめの覆いがついている。タコのモチーフが、額を中心 に描かれ、下、左右に向かって放射状に足を広げている。

構造について

オートクチュール刺繍の手法で、銀糸のチュール生地に、コンテリエビーズ、ラインストーン、 ラインストーン付きブレード、モール糸が縫い取られ装飾が施されている。裏側からさらに銀糸の チュール生地で当て布がしてあり、正面、頬と鼻下以外、周囲はぐるりと銀糸の束で縁取られている。

状態について

経年劣化により、チュール生地と縫い取りに使われた糸が非常に脆弱。そっとビーズを引っ張ってみると糸がハラハラと分解されていく。手のひらで掬い上げるように全体を持ち上げると、パラパラとどこからかビーズがこぼれる。感触が柔らかく頼りなく、自重で崩れてしまいそう。コンテリエビーズはどれも綺麗な状態。だが数粒接着剤で無理に付けられている箇所がある。 
ラインストーンも欠損している箇所はあるが綺麗に輝いている。座金は、メッキの剥落が一部見られるが錆は見られない。
すでに修復の手が入っていると思われる箇所もあり。
カットの入ったコンテリエビーズの部分は、全て糸も新しくしっかり一粒ずつ縫い止められ丈夫。 裏側の下半分には生地が足されている。チュール生地の目が細かい。


ポール・ポワレ『深海』 修復記録

《マスク》

VOL.1【形状・構造・状態について】

VOL.2【素材について】

VOL.3【修復作業】

《ブレスレット》

VOL.4【形状・構造・状態について】

VOL.5【素材について】

VOL.6【修復作業】