形状について
額から口の上にかけて顔の上半分を覆い、2つのスナップボタンを用い頭の後ろで止める仕様。 目の位置にスリットが入り、耳の位置に小さめの覆いがついている。タコのモチーフが、額を中心 に描かれ、下、左右に向かって放射状に足を広げている。
構造について
オートクチュール刺繍の手法で、銀糸のチュール生地に、コンテリエビーズ、ラインストーン、 ラインストーン付きブレード、モール糸が縫い取られ装飾が施されている。裏側からさらに銀糸の チュール生地で当て布がしてあり、正面、頬と鼻下以外、周囲はぐるりと銀糸の束で縁取られている。
状態について
経年劣化により、チュール生地と縫い取りに使われた糸が非常に脆弱。そっとビーズを引っ張ってみると糸がハラハラと分解されていく。手のひらで掬い上げるように全体を持ち上げると、パラパラとどこからかビーズがこぼれる。感触が柔らかく頼りなく、自重で崩れてしまいそう。コンテリエビーズはどれも綺麗な状態。だが数粒接着剤で無理に付けられている箇所がある。
ラインストーンも欠損している箇所はあるが綺麗に輝いている。座金は、メッキの剥落が一部見られるが錆は見られない。
すでに修復の手が入っていると思われる箇所もあり。
カットの入ったコンテリエビーズの部分は、全て糸も新しくしっかり一粒ずつ縫い止められ丈夫。 裏側の下半分には生地が足されている。チュール生地の目が細かい。
ポール・ポワレ『深海』 修復記録
《マスク》
VOL.1【形状・構造・状態について】
《ブレスレット》